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もし芸人に不思議な力があったら4

1 :名無しさん:2006/01/19(木) 20:41:46
現まとめサイト
ttp://geininstone.nobody.jp/


・芸人にもしもこんな力があったら、というのを軸にした小説投稿スレです
・設定だけを書きたい人も、文章だけ書きたい人もщ(゚Д゚щ)カモォン!!
・一応本編は「芸人たちの間にばら撒かれている石を中心にした話(@日常)」ということになってま


・力を使うには石が必要となります(石の種類は何でもOK)
・死ネタは禁止
・やおい禁止、しかるべき板でどうぞ
・sage必須でお願いします
・職人さんはコテハン(トリップ推奨)
・長編になる場合は、このスレのみの固定ハンドル・トリップを使用する事を推奨
 <トリップの付け方→名前欄に#(半角)好きな文字(全角でも半角でもOK)>
・既に使用されている石、登場芸人やその他の設定今までの作品などは全てまとめサイトにあります。
書く前に一度目を通しておいてください。

204 :Phantom in August  ◆ekt663D/rE :2006/02/15(水) 17:55:13
>>61-66 の続き

【22:28 都内・某TV局】

収録が一旦止まり、休憩となっているスタジオの片隅で。
仕事疲れとは明らかに異なるタイプの疲労をその面に浮かべた男達がパイプ椅子に腰掛けてそれぞれなりに佇みつつ、
スタッフの動きをぼんやりと目で追っていた。
「……………。」
「……でも、よ。」
その内の一人、上田が深く溜息をつけば、傍らの有田が続く沈黙に耐えきれなくなったのか、唐突に口を開く。
「何でアイツ…あんな真似しようって考えたんだろうな。」
「……………。」
アイツ、と有田が口にするのは土田の事。あんな真似というのは先ほど上田が石の能力で読み取った美術倉庫での出来事。
どこか別の場所にいたのだろう小沢を強引に呼び寄せ、話を持ちかけようとする彼の行動は余りにも奇怪だった。
『白い悪意』によって『黒』の側の芸人にも被害が及んでいるのだろう事は想像できる。
それを防ごうと躍起になろうという考え自体は有田達にも理解は出来なくもないが。

――『白も黒も関係なく』お前に頼みがしたい。
そう言い放ち、本来敵対しているはずの『白』の側の芸人である小沢と手を組もうとしてまで、彼が動く必要が何処にあるのだろう。
「今のところ、アイツが出しゃばらなきゃなんねーほど、『黒』は危機に瀕してるわけじゃねーんだろ?」
「一応は、ね。『白い悪意』が混乱を起こしてくれてるんでラッキー♪ みたいな考えの奴もまだ多いし。」
有田に問われ、堀内は腕を組んだままぼそりとそう返答した。
「…って言うよりも、俺が知ってる限り『黒』ン中でもあんなに『白い悪意』について詳しく知ってる奴って居ないぜ?」
もしかしたら幹部連中にだけ回ってる情報なのかも知れねーけどさ、と付け加えて堀内は言葉を続け、
本当に何考えてるんだろう、とでも言いたげに肩を竦めて見せる。
「何て言うか…まるで、いっぺんどっかでやりあった事があるみてーだ。」

205 :Phantom in August  ◆ekt663D/rE :2006/02/15(水) 17:56:03
「確かにそんな感じの詳しさだったよな…。」
堀内の呟きに、読み取った記憶の中での土田の振るまいが思い出され、上田は力なくそう口にする。
「まぁ、土田の方はそっちで見張るなり何なり頼むわ。こっちも次の機会にでもそれとなく小沢に聞いてみるから。」
「…ん、任せといて。」
本来は歓迎されない盗み見に似た真似で得た情報だ。さすがに直接当人にぶつける訳にはいかない。
どう行動するにせよ、まずは遠回しに本人の意思を確認してからだろう。上田に視線を向けられ、堀内は胸を張って頷いてみせる。
「でもよ、いつも言ってっけどさ、無茶だけはすんなよ。」
「わかってる。」
重ねて有田から掛けられる言葉に、堀内はにぱっと年齢にそぐわない少年のような笑みを浮かべた。
しかしその笑みは、心配されている事に照れると言うような物だったり、相手に心配をさせまいとするそれというよりも
危険を前にしてドキドキワクワクしている冒険好きの笑顔に見えなくもなく。上田はふっと苦笑いを浮かべるけれど。
案外そんな気構えでいた方が、何とかなるモノなのかも知れない。

「お待たせしましたー、スタンバイ、お願いします!」
スタジオの中央に組まれたセットの方から、スタッフの声が周囲に響き渡る。
「……じゃ、俺はこの辺で退散するわ。」
「おう、今日はわざわざ教えてくれてありがとうな。」
椅子からのそりと立ち上がる堀内に上田は告げ、自身も椅子から立ち上がった。

石の事を考えるのはここまで。ここからはまた仕事の方に意識を集中させなければ。
そう頭では理解できていたけれど。
「『白い悪意』…ホワイトファントム、か。」
セットの方へと歩き出しながら、石が読み取った記憶の中で土田が口にしていた単語をそっと上田も口にしてみた。
「確かにアイツが執着するんだ。そんだけの何かがあったんだろうけど、なぁ…。」
喉元のホワイトカルサイトに手を伸ばし、握りこんでみる。

206 :Phantom in August  ◆ekt663D/rE :2006/02/15(水) 17:56:35
……なぁ、お前も何か、記憶していないのか?
口に出さずに石に問いかける上田に応えるかのようにホワイトカルサイトが淡く瞬き、途端に上田のこめかみにズキっと強い痛みが走った。


 瞬間的に網膜に浮かぶは、何もかもが曖昧な、遠い風景。
 地面に転がる、幾人もの人影。その中には有田の姿も含まれている。ぽっちゃりした体型の男も、肩に掛かるほど長い髪の男も。
 その中で膝をつき、何とか起きあがろうとする上田の前には、彼らを護るように仁王立ちする、背の高い男。
 怒っている。本心をはぐらかすことの多い彼が、本気で怒っている。
 その視線の先には、フードの付いた白い長袖のパーカーを纏った小柄な男。
 八重歯を口元から覗かせて、こっちの男は笑っている。全身傷だらけなのに、それでも彼は笑っている。
 大柄な男の怒りなど軽く受け流し、笑いながらもたげられた小柄な男の右手から白い光の帯が放たれる。
 強い悪意と暴力性を秘めたその光を、大柄な男は目の前に作り出した緑色の輝きで吸い込んで。
 緑の輝きが消えると同時に現れた赤い輝きから、Uターンでもさせるかのように放ち返す。  
 今にも泣き出しそうな笑顔のまま、小柄な男は白い輝きに飲み込まれていった。


「………くっ。」
「…どうしたぁ?」
意図せずフラッシュバックされた記憶が起こす頭痛に思わず顔を歪めた上田に、心配の欠片も見あたらない口調ながら有田が呼びかけてくる。
ホワイトカルサイトに触れていた手をこめかみにやり、上田は首を横に振った。
「……いや、何でもない。」
一体今のが何だったのか思い出そうとするけれど。今度はホワイトカルサイトは何も答えなくて。
多分さっき石を使った反動かな…と眉をしかめながら上田が答えたりしている、ちょうどその頃。
くりぃむしちゅーの2人の楽屋にて、上田の携帯電話が一件の留守番メッセージを受け取っていた。
事態の進展を知らせるそのメッセージに彼らが気づくのは、もうしばらく先の事になるだろうか。

207 :Phantom in August  ◆ekt663D/rE :2006/02/15(水) 17:57:09
【21:54 渋谷・センター街】

ダルメシアンジャスパーの輝きに呼応するかのように、平井を中心にしてアスファルトの上に光の輪ができる。
平井がアスファルトを力強く踏みしめるとその輪は急速に広がっていき、彼の前に立つ白いパーカーの男をもその内側に飲み込むだろう。
「………っ!」
輪の広がりを視界の隅で確認し、平井はダルメシアンジャスパーを握る手に力を込めた。
再び石が強く瞬いて、光の輪の内側の空気の質が、変容する。
ただでさえ湿気を含んだ蒸し暑い空気がなおも重さと熱を増して、露わになった肌やその空気を吸い込んだ肺をジリっと焼く。

「…………。」
さすがに違和感に気づいたのだろう。白いパーカーの男の肩がピクリと動く。
今まで走っていたために滲むそれとは異なる汗を額や背中に感じながら、平井はようやく首飾りから手を離し、軽く身構えた。
その身体を、白いパーカーの男をも、ゆらめく陽炎が包み込む。
男の顎から、ぽとりと汗が流れて落ちた。
「…ふぅん。」
日中並の…いや、それ以上の暑さに包まれながら、白いパーカーの男は小さく呟く。
「所詮、その程度か。」
どこかで聞き覚えのあるような声で呟いたかと思うと、男は平井の方へと飛び込んできた。
一気に詰められる間合い。しかし平井の方も俊敏に後方へと跳び、差し伸ばされる男の腕は空を切った。

「この暑さでも動きが鈍らない…さすがは、噂になるだけあるって事か。」
ひゅう、と口笛に似た息を吐き、平井も呟く。
彼の首元で輝くダルメシアンジャスパーの秘めた能力は、持ち主である平井を中心として周囲の温度を上昇させる物。
直接的に攻撃できる能力ではないけれど、相手の動きを緩慢にさせ体力もじりじりと奪う、戒めの石という異名通りの力。
「大切な居場所を、そこにいるみんなを、お前に荒させはしない!」
滲む汗でシャツが身体に張り付く厭な感覚を覚えながら平井が吠えれば、石もそれに呼応して辺りの温度が更に上昇した。
動く事はもちろん、物事を考えるのも億劫になりそうな熱が2人を取り囲む。

208 :Phantom in August  ◆ekt663D/rE :2006/02/15(水) 17:57:55
それでも。
「身の程知らずが。」
ぼそりと言葉が漏れ落ちたかと思うと、白いパーカーの男は左の手のひらを平井の足元へと向ける。
刹那、石が持つ悪意の力がパッと強まったかと思うと、左手から出現したのは白い光の帯。
「……くっ!」
足を狙われたかと平井が飛び退くのと白い光がアスファルトを強烈に叩くのはほぼ同時。
弾けた光が衝撃と共に熱を持つ空気と混ざり合い、一瞬だけ平井の視界を塞ぐ。

けれど、その一瞬で。男は身体を焼く熱など微塵も感じさせない素早さで平井の方へ踏み込む。
目の前の光の膜を突き破るかのように伸ばされくる男の右手が、平井のシャツの襟首を掴んだ。
「………死ね。」
「…………っ!」
しまった、か。それとも嘘だ、か。
間合いが封じられ、白いパーカーの男の手を振り解こうと身をよじりながら、思わず何かを言いかける平井の視界が急転する。
感じるのは足に掛かる鋭い痛み。一度の足払いで簡単に崩れる身体のバランス。
シャツの襟首を掴む男の手に強い力が掛かり、平井の軽い肢体はアスファルトに叩きつけられた。

「ぐ…っ…!」
もしこれが柔道の試合なら、これ以上ない一本勝ちとなるだろう男の投げ技。
イヌがニャーと泣いた日のコントの見せ場である合体技の為に積み重ねた練習のお陰で、無意識のうちに受け身を取れたため
平井は後頭部を打ち付けて昏倒する最悪の事態だけは回避する。
けれど、アスファルトと激突した身体が受けたダメージは大きく、起きあがろうとするための力が入らない。

209 :Phantom in August  ◆ekt663D/rE :2006/02/15(水) 17:58:34
「どうしたの? 僕をここで止めるんじゃなかったの?」
力を発揮するための集中が解け、ダルメシアンジャスパーはしばし輝きを失う。
呼吸と共に上下する平井の胸元で揺れる、その石があしらわれた首飾りを踏みにじるかのように。男は平井に右足を乗せ、笑った。
「口ほどにもない…お前のような邪魔な芸人が居るから…………そう、芸人はみんな消えてしまえばいい。」
平井の顔面に向けた白いパーカーの男の右手の平に、強い悪意と共に白い輝きが集い始めた。
これを喰らえばひとたまりもない事ぐらい、平井にも敢えて考えずともわかる。
しかしこの至近距離かつ回避を封じられた状況で、どうすれば良い?
まさに絶体絶命。そう言わざるを得なかった、その時。



「お前ら、何やっとんねんっ!」
不意に、周囲に素っ頓狂な叫び声が響き渡った。
その声色に平井は聞き覚えがあり、その良く張った声量とも相まって通りすがりの一般人でない事は明らかで。
「……逃げろ!」
平井がそう叫び返すのと、白いパーカーの男が平井に向けていた右手を声の発された方へ向け、白い光の帯を放つのと。
殆ど同時の出来事だった。




210 :Phantom in August  ◆ekt663D/rE :2006/02/15(水) 17:59:56
【22:03 都内・某墓地】

赤い亀裂から足を踏み出し、靴越しに土の感触を確かめて。そこで小沢はふぅと深く息を吐いた。
身体を取り囲むのは蒸し暑い夏の空気。遠くから聞こえるのは、はしゃぐ芸人達の声と、蝉の鳴き声。
……帰って、来れた。
ここが最初の墓地である事を確認するように小さく口にして、小沢は彼と同じように亀裂から吐き出された川元の方を向く。
ポーカーフェイスであるためにその真意は容易に察せる物ではないが、疲労の色が濃さげなのは相変わらずのようで。

「……すみませんでした。」
その彼の口がわずかに動き、抑揚のないぼそりとした言葉が漏れる。
「ん?」
「……騙したりしてた事。」
シャツに引っかけていたネクタイピンを外し、無造作にボトムのポケットにねじ込みながら。川元は足元の土に視線を落とし、告げる。
「確かに不意打ちは勘弁して欲しいけど。ま…今回に関しては気にしてない、から。」
ここで川元を責める事は簡単だろう。しかし小沢はもう一度深く息を吐いて顔に笑みを作り、そう答えた。
「え……っ?」
「土田さんが喋ってた時、後ろでこっそり石をスタンバイさせてたでしょ?」
まさかそこで小沢が笑うとは思わなかったのか、ハッと驚いたように川元は小沢の方を向く。
「何かあったら、止められるように。」
「……別に…約束が破られると、色々面倒な事になりますから。僕、面倒事は嫌いですし。」
さすがは石に対して特に鋭い感覚を持つと『黒』に恐れられている人物。
口には出さずにそう呟き、川元は微笑む小沢から視線を逸らし、つっけんどんにそう告げた。

211 :Phantom in August  ◆ekt663D/rE :2006/02/15(水) 18:00:41
「ありがとう。」
「…………。」
詫びたつもりが何故感謝の言葉を貰っているのだろう、と困惑するように川元は頭を掻く。
その様子がおかしくて、小沢はくすりと小さく笑って。
「あ……。」
耳に入ってくる慌てたような足音と石の気配に、それが近づいてくる方向を向いた。


「おざーさぁんっ!」
「小沢! ……と川元!」
殆ど同時に発せられる声に川元も小沢が見やる先へと視線を向ける。
そこには、声の発生源である井戸田と設楽がいて。それぞれ心配と安堵をない交ぜにしたような表情を浮かべながら、
夜の闇をかいくぐって一歩一歩2人の方へと駆け寄ってきているようだった。

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