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【石の力】もし芸人に不思議な力があったら【開放】

1 :名無しさん:04/11/04 02:28:53
前スレ
http://tv6.2ch.net/test/read.cgi/geinin/1080226867/

まとめサイト
http://risus.ifdef.jp/index.htm

・芸人にもしもこんな力があったら、というのを軸にした小説投稿スレです
・設定だけを書きたい人も、文章だけ書きたい人もщ(゚Д゚щ)カモォン!!
・一応本編は「芸人たちの間にばら撒かれている石を中心にした話(@日常)」ということになってます
・力を使うには石が必要となります(石の種類は何でもOK)
・死ネタは禁止
・やおい禁止、しかるべき板でどうぞ
・sage必須でお願いします
・職人さんはコテハン(トリップ推奨)
・長編になる場合は、このスレのみの固定ハンドルを使用する事を推奨

528 :“Black Coral & White Coral” ◆ekt663D/rE :05/01/13 00:54:42
「・・・させませんっ!」
変身中の攻撃は、彼の愛する仮面ライダーシリーズに限らず特撮物ではタブーであろうけども。
赤岡は容赦なく再び黒珊瑚を瞬かせると廃材を野村と傍らの小沢へと襲いかからせる。
「そっちこそ、させねぇよっ!」
けれど威勢の良い野村の声が上がると彼を包む紫の輝きは弾け散り、その内側から姿を見せるのは機動隊員の装備。
すかさず掲げる盾によって、放った廃材は全て防がれた。


「・・・面白い。やはりこうでなければ、ね。」
普通なら悔しがるような反応の一つも見せる所なのだろうが、赤岡は逆に口元に笑みを浮かべると小さく呟いた。
「潰し甲斐がない・・・という物ですよ。」
赤岡の気分が乗ってきた証拠という訳でもないのだろうが、彼の首元のネックレスにて黒珊瑚が漆黒の光をこぼす。
しかしその輝きはどことなしに苦しげで、助けを求めているようにも見えるのは、果たして気のせいだろうか。









529 :“Black Coral & White Coral” ◆ekt663D/rE :05/01/13 00:55:45
『・・・じ・・・の・・・・・・じ・・・どの。』
ほど近くから囁かれる声に導かれるように、島田はゆっくりと瞼を開けた。
床に倒れ落ちた割には全身がふわふわとした何かにくるまれているような感覚を覚え、
ほんのりと暖かい周囲の温度とも相まって、どこか不思議に思いつつではあるけれど。

「・・・・・・・・・っ?!」
その不思議な感覚は決して島田の気のせいではなかったようだ。
今まで彼は廃工場にいた筈なのに、見える光景は360゚一面の乳白色。
そして、目の前には。
『主殿、どうしたんですか?』
毎日鏡越しに見かける見慣れた顔が、不安げに島田の顔を覗き込んでいて。
慌てて身を翻して逃げようとする島田の腕を、先にいた島田はすかさず細い腕を伸ばして掴まえ、捕らえた。
『何故、逃げようとするんです。』

「普通逃げるよ。・・・っていうか何これ。どうなってるの? それにお前、誰?」
少しでも力が抜ければいつでも逃げられるように藻掻きながら、島田は目の前の島田に問う。
そんな慌てふためく島田の様子に、先にいた島田は何か思うところがあったのだろうか。
あぁ、と声にならない声を漏らしてそのまま島田に向けて言葉を続けた。
『・・・そう言えばそうでした。僕はあなたの石、白珊瑚。この姿では初めまして。主殿。』
「白・・・珊瑚?」
『はい。そして前々から主殿とは一度話をしてみたかったので、
 あなたが気を失ったのを幸いに主殿の意識を僕の方へ呼び込ませて貰いました。』

鏡に映ったように左右反対になってはいるけれど自分と同じ姿、同じ顔で悪意なく微笑み
自分と同じ声でカツゼツ悪く告げる自称白珊瑚に、島田は逃げようと藻掻くのも忘れてしばし言葉を失った。
こんな事、あるはずがない。
島田とすればそう思いたいけれど、今まで白珊瑚を手にしてから色々現実離れした目に遭ってきた以上
こういう事も別にあり得るのかも知れない・・・そんな考えが彼の脳裏を過ぎる。
そんな、ただでさえ混乱している島田に更に追い打ちを掛けるつもりではないのだろうが
島田の姿をした白珊瑚は島田の腕を掴んだまま、問いかけた。

『主殿は・・・力が欲しいですか?』

530 :“Black Coral & White Coral” ◆ekt663D/rE :05/01/13 01:21:27
今回はここまで。

メモ帳で書いている時は今回はちょっと長目かな、と思ってたけど
案外投下してみると普段と変わらないレス数でしたね・・・。

531 :名無しさん:05/01/13 02:39:48
>>530
小沢さん、塩をごと投げたんですねw漫才を思い出しました。
続き、楽しみにしてます!!

532 :名無しさん:05/01/14 14:45:59
乙です!
小沢さんの攻撃が意外すぎて笑えました(笑)
ぴったりだけどあの場面でそうなるか〜と。
楽しかったです!

533 :名無しさん:05/01/16 19:31:23
乙です!
島田さんがどう出るか見ものですね
楽しみにしてます。

534 :ブレス ◆bZF5eVqJ9w :05/01/16 21:16:11
こんばんはー、ブレスです。
だらだらと色々書いてみたら何故か「ロンブー編」なのに「God―」の続きみたいになりました。
今回は一応その淳編です。文章変かもしれませんが、お付き合いください。


〜回想・願い〜


淳は数日前の出来事を思い出していた。
色々な事があった。
彼はゆっくりと携帯を開く。暗い部屋に画面のライトが光る。
「めんどくせー・・・・・・」
口を突くのはまたそんな一言。
――――使命は果たしてるさ、そうだろ?現に俺は・・・・・・。
ゆっくりと目を閉じると、あの日の事が頭をよぎる。


淳は、はじめその一言に戸惑っていた。
『命令を聞かなければ殺す』。
それは、彼にとって脅威となる言葉であったはずである。
淳の最初の任務は『相方の亮の心を読み続ける事』だった。
それほど力を使う能力でない事は確かである。
だが、一度に読めるのは『着信した時間から10分間』である。
つまり、淳はほぼ断続的に力を使い続けなければならなかった。
――――3日の間は。
軽い指や腕への負担は黒い欠片で誤魔化して、ずっと携帯電話を握っていた。
さすがに、仕事中や睡眠中くらいは抜いたとしても、かなりの疲労が溜まっていた筈である。
それすらも、『死にたくないから』と言う決断と、『もう戻れない』と言う現状から誤魔化し続けた。
そして――――。

535 :ブレス ◆bZF5eVqJ9w :05/01/16 21:18:03
ある日の楽屋。
亮が、淳の真新しい携帯電話と石のついたストラップを見たのと同時に、流行の着メロが響く。
「淳、なんなん?メール?」
「・・・・・・うん」
言葉少なげに、淳が返しつつ。そのメールを読んでみると、数分後の時間と
『なんで上田さんから電話きたんやろ・・・・・・?』
との一言。
『白』からの接触か・・・。ふと唇だけで淳が呟く。

『そっか・・・、亮君白の人に会うんだぁ・・・』
「はい」
淳が密かに何処かへと電話をかけていた。
『・・・じゃあさあ、そっちにテツトモさん送るから、君の力でコントロールしてよ』
「・・・出来ますかね」
『出来ると思うよ?君の事だから。』
淳の能力で、彼の元へ届いたメール。
それに、彼が返信を出す事によって思考を変える事も可能である。
だが、それが成功した所は本人も拝んではいない。
『出来るでしょ?それとも・・・・・・』
「いえ、やります、やります、やらせてください」
『だよね、だよね、だよね??』
だって、もしここでやらないって言って見ろ。どうなる事か――――。
ったくめんどくせぇな、と呟く。

536 :ブレス ◆bZF5eVqJ9w :05/01/16 21:19:21
『落ち合う場所と時間は分かってるよね?
それよりも早く、その店に行って待っててくれないかな?』
「・・・はい」
『暫くして3人そろったらさ、テツトモさん行かせるから。
2人にはファン装ったこっちの人から、石のついたブレスレットとギターピック渡してあるから』
「・・・はい」
『そんで、メールで命令出しながらその闘いを見届けてくれない?』
勿論、ミスをすれば自分には罰が下るだろう。
「・・・・・・そんな面倒な事しなくてもいいんじゃねぇの?」
『いや、これは君にやってもらう価値があるから』
「・・・・・・そうですか」
『で、上手く行ったら・・・そうだな・・・亮君は見逃してもいいよ』
「・・・え?」
『つまり、こっちに入れなくてもいいよ、って事ですよ。』
「・・・・・・くりぃむさんは」
『捕まえて欲しいかなぁ・・・、出来れば』
「・・・・・・」
『敵は少ない方がいいからね、それに囮とかに出来そうだし』
「そうですね」
『俺さぁ、頭いい人好きだからさ。欲しいかな?
2人とも大学中退らしいし、頭良さそうじゃん』
「・・・・・・ならいいんだけどさぁ、あんまし頭よくないと思うよ?」
一瞬の沈黙。
本人達がいたら、うるせぇと一喝されている所だろうか。
『・・・まーいいや。とりあえず頑張ってね』
「はい」
ぷちっと一方的に電話は切れる。
ふーっと深く溜息をついて、淳は天井を見つめた。
「・・・・・・すんげーめんどくせー・・・・・・」

537 :ブレス ◆bZF5eVqJ9w :05/01/16 21:19:51
そして、運命のその日。
淳は亮が来る予定になっている時間より30分は早く来て、場所を確保していた。
亮が何処に座るのか、くりぃむしちゅーが何時来るのか、テツアンドトモの能力はなんなのか。
それが、全て淳の頭に叩き込まれていた。
それゆえに、窓側の席が見えるが、亮があまり見なさそうな位置に構えていた。
石澤には、店員や客の安全を確保する為に、先に能力で皆避難させた。
相手を牽制する為に中川にすぐ攻撃するよう店内で指示を出し続けて。
亮と有田に見つかった時は、正直どうしようかと思った。
相方を見つけた時に、自分を思う亮の気持ちが暖かくて。
亮の言葉は淳の重荷を全て押しのけてくれる。
『お前をぉっ!俺が!!今度は背負うから!!!背負ってやるからっ!!!』
言いたい事が思いつかない。
変わりに溢れ出るのは、止めど無く流れ続ける美しい涙。
それなのに、自分の意思と裏腹に動く石澤。亮や、それに関わる人を苦しめたくないのに。
『だってアイツさっ、俺の大切な相方で、一番の友達じゃんか!』
――――有田さん・・・。貴方の相方を苦しめてしまった・・・。
それは、俺のせいなんですよ。俺がトモさんに指示を出したから。だから。
でも、あの人はこのタイミングで笑って見せていた。心の繋がりって強いんだな。
淳は、有田の姿が消えたのを確認すると
「今回は上手くいかない予定だったんだよ、亮君・・・」
そうぼやいて、ゆっくりと気付かれないように、硝子の割れている店の窓から外へ出た。
そう、それがメールを読んでいて気付いた事。
それが『彼』がはじめから知っていた、敗走のシナリオ。

538 :ブレス ◆bZF5eVqJ9w :05/01/16 21:23:08


『お疲れー。』
その店から離れて暫くしてから、いまだ目が潤んでいる淳に一本の電話。
「・・・・・・すいません」
『いいんだ、初めから分かってた』
「・・・・・・・・・」
『まー、テツトモじゃ駄目だったかー。強いから行けると思ったんだけどな』
「・・・・・・・・・」
『そうそう、淳君さ、これから暫く僕から電話するまであんま力使わないでね』
「・・・・・・はい」
『お願いだよ?そんなに使われると必要な時に使えないから』
「・・・・・・・・・」
『・・・それとさ、君って意外と相方に好かれてるんだね』
「・・・・・意外とってなんスか」
『君等、見た目仲悪そうだからさぁ』
「どっかから見てたのかよ?」
『ふふ・・・それはないしょだよ。それよりさぁ』
「・・・・・・なんすか」

539 :ブレス ◆bZF5eVqJ9w :05/01/16 21:27:42
『相方可哀想とか、そういう事考えるのやめてね。』
冷酷な宣告。歩いていた淳の足が不意に止まる。
「・・・・・・・・・」
『これからさ、そういう事あると困るんだ』
「・・・・・・・・・」
『相方の事を考えてたら、何も出来ないからさぁ』
「・・・・・・そうですけど・・・・・・」
『何?君には無理?・・・そうだよね、普通は無理だよね』
「・・・はい」
『・・・僕も最初は辛かったよ』
「え・・・・・・?」
『いや、なんでもない』
「・・・今・・・貴方・・・・」
『・・・・・・君は僕に似てるよ、全く。』
「・・・・・・」
『本当に似ている。
いらない事ばっかり考えてるんだよねぇ・・・』
「・・・・・・」
『・・・・・・何が言いたいか分かってるよね?』
「いいえ」
『ふふっ、そういうと思ったよ』
電話は、いつもよりも長く続いた。
今は、その内容を思い出すことが何故かできなかったけれど。


――――過去から戻った暗い部屋に、煙草の煙が充満する。



『彼』は多分設楽さん・・・だと思います。もしくは淳さんを脅してた人。
以上、お付き合いありがとうございました。

540 :名無しさん:05/01/18 23:55:11
乙です!
淳さんの裏がわが見れて、よかったです。
とても楽しかったです!

541 :名無しさん:05/01/20 02:24:41
ほすあげ

542 :名無しさん:05/01/20 12:32:31
遅ればせながら皆さん乙です!

>>◆ekt663D/rEさん
続き気になります!
いつもドキドキするような展開で凄いです。
まさか塩とは(笑

>>ブレスさん
淳視点良いですね!裏側を覗けた感じで嬉しいです。
これからも楽しみにしてます。

543 :名無しさん:05/01/20 20:20:19
ブレスさんのを読んで、改めて思いましたが
黒側の人は皆何かしらを背負ってるんですよね。
だから余計悲しい。

544 :名無しさん:05/01/21 06:36:32
また〜りいこうぜw

545 :名無しさん:05/01/21 20:13:13
>>543
やり方はアレだけど、黒は必要な存在だろう、と誤解して脅しなしで自発的に参加している人はともかく、
実は石や黒の欠片による干渉なしでも、石を使って他の芸人を傷付けるのが楽しいので
黒にいますって人が多数派とは流石に思いたくもないですしね・・・。


546 :ブレス ◆bZF5eVqJ9w :05/01/21 22:04:57
皆様、いかがお過ごしでしょうか。ブレスです。
皆様何時も感想ありがとうございます。
えーとですね、ちょっとこちらで聞きたい事がありまして。

ロンブー編が一時落ちついてから、新しいシリーズを書こうと思うのですが、
1・ガレッジセール編(タイトル未定)と
2・はねるのトびら編(Jamping?)のどちらかにしようと思います。
まとめサイトでもちらほら話題になったのですが、なんか反応が薄いのでこっちでも聞いてみました。
どちらがいいと思いますか?って話です。
荒れる可能性があるのあらば2は即刻お蔵入りします。
そこらへんも含めて意見お願いします。

547 :名無しさん:05/01/21 23:32:25
2.が読みたいけど…100%荒れそうだよね
避難所投下とかも無理かなぁ

548 :名無しさん:05/01/22 00:38:37
はねトびって荒れるんですか?バトロワでは問題なく進んでた気がしますが。

私はどちらも読んでみたいです。

549 :名無しさん:05/01/22 00:52:22
バトロワの辺は良く知らないけど、最近のはねトび出演者関連のスレを見るとそう思う。
読みたいのは読みたいけど。

550 :名無しさん:05/01/22 04:23:37
読みたいのは2だけど・・・。
荒れると思う。

551 :ブレス ◆bZF5eVqJ9w :05/01/22 11:18:19
>>547-550
皆様ご意見ありがとうございます。
はねる編はまとめサイトからいけるまとめスレのほうで2話分投下済みです。
(オープニング・1のみ)
しかし、まとめサイトを御覧になっていない方もいらっしゃるかと思い、ご意見を伺った次第です。

・・・ところで、インパルスの堤下さんの呼ばれ方って「敦君」で良いんでしょうか?

552 :名無しさん:05/01/22 13:25:28
「つっつん」じゃない?

553 :名無しさん:05/01/22 18:23:01
>>551
相方からは普通に「堤下」、他のはねトびメンバーからは「つっつん」って呼ばれてたと思う。

554 :名無しさん:05/01/22 22:05:29
最近他の書き手さん出て来てくれませんね。
色々と続きが気になる話はあるのになぁ。

555 :名無しさん:05/01/23 16:58:32
>>554
そればっかりはしょうがないんですよね。
催促するわけには行かないですし。

556 :名無しさん:05/01/24 15:16:19
ガレッジセール編見てみたいです。
どちらになっても頑張ってください!

557 :名無しさん:05/01/24 19:01:06
個人的にははねとびに一票。まとめスレの方読みましたが、荒れる事ないと思いますよ。
万が一変な書き込みがあったら住人が無視すればいいだけの事だと自分は思いますけどね。
ブレスさんの文章好きなので是非これからも頑張ってください。

558 :名無しさん:05/01/24 22:42:12
私もまとめスレの方見させていただきました。
>557の方と同じで荒れないと思います。
頑張って下さい!

559 :名無しさん:05/01/26 01:18:04
落ちそうなんでageときます

560 :名無しさん:05/01/26 03:34:28
,

561 :名無しさん:05/01/28 10:50:21
『カンフーハッスル』の大家さん夫妻を見て
東京03飯塚が活躍する話読みたいなーとオモタ

562 :名無しさん:05/01/28 23:44:26


563 :名無しさん:05/01/29 01:46:26
東京03書いてみたいですが
どなたかすでに書いてるよって方いらっしゃいますか?

564 :名無しさん:05/01/29 02:52:02
>>563
エレキ編最終話(まとめサイト参照)に少しだけ出てます。
能力や条件等もまとめサイトに載ってますよ。

565 :遅れてきた青年 ◆5X5G3Ls6lg :05/01/30 19:54:14
いきなりですが、書きます。
キングオブコメディ短編です。


「あーあ」
そういいながら今野は恨めしそうな顔で窓の外を見た。
朝は雲ひとつなく晴れていたのにぽつぽつと雨が降り始めている。
今日は雑誌の人力舎特集で二人にも取材があったが、
皆が先に取材や写真撮影を受けていたのでその順番を待ってた。
「なんだよせっかくおろしたのに」
高橋はその言葉を聞いてなんとなく今野の足元を見た。
シンプルだかいかにも高そうな靴。
何でも行きつけの服屋でわざわざ予約までして買った5万近くする物らしい。
朝の天気で判断して買ったばかりのその靴をおろしたらしい。
「止まねえかなー雨」
ひどいしかめっ面だ。
「力で止めたら?」
高橋が今野の足元から読んでいた雑誌に目を移してから言った。
「でも、明日も仕事あんじゃん」
「そのつもりだったのかよ。止むだろ、取材終わる頃には。
 夜は晴れだってさ」
「そう」


566 :遅れてきた青年 ◆5X5G3Ls6lg :05/01/30 19:59:23
そっけなくも聞こえる言い方だったが機嫌は直ったようだ。
高橋がもう一度今野に視線を戻すと、今野は携帯をいじっていた。
きれいな紫の買ったピンクの医師のついたストラップ。
高橋は無意識にTシャツの下のお守りを触った。
静かな部屋の中で、雨足の強くなっていく音だけが聞こえている。
−あの時雨降ってたよな
高橋は一週間前の夜のことを思い起こした。

567 :遅れてきた青年 ◆5X5G3Ls6lg :05/01/30 20:10:09
上に続けて書くの忘れました。
短編ですがまだ続きます。
また来週書きます。

568 :名無しさん:05/01/30 20:55:54
乙です!
キンコメ来ましたねー!!この二人の雰囲気好きですv
続き楽しみにしてますv頑張ってください!

569 :ブレス ◆bZF5eVqJ9w :05/01/30 21:43:03
>565-566
ナカーマ増えたー!
書き手さんが増えるのは大変嬉しい限りです。
増えれば増えるほど話が広がりますからね。
続き期待してます。



あ、それと。
明日あたり、出来たらロンブー編投下予告します。
それと皆様ご意見ありがとうございます。
ロンブー編終わったら、はねるとガレッジ交互に投下予定ですが・・・。
こういうの大丈夫だろうか・・・。

570 :名無しさん:05/01/30 21:44:46
>565-567
乙です!久々の新作投下、ワクワクしながら読まさせて頂きました。
次も楽しみにしてます。

571 :名無しさん:05/01/30 22:35:51
ちょっと分からないところがあるのですが…

>きれいな紫の買ったピンクの医師のついたストラップ。
↑ココ。

572 :ブレス ◆bZF5eVqJ9w :05/01/30 22:44:27
多分タイプミスかと。
きれいなピンクの石のついたストラップ、かなぁ?

573 :名無しさん:05/01/30 23:09:41
きれいな紫がかったピンクの石のついたストラップ

574 :お試し期間中。 ◆cLGv3nh2eA :05/01/31 21:13:53
煤cあまり来れなかったうちにキンコメ話が。
CUBEと一緒に働いてもらおうかと思っていたのですが…
これからの展開を見て考え直すことにします。皆さんのお話、続きが楽しみですねぇ。

自分は3月頃までかかりそうです_| ̄|●もう少しお待ちください…
待っていて下さっている方が居ればのお話ですが(切腹

575 :名無しさん:05/01/31 23:53:31
>>574
ものすごく待ってます!でもご無理なさらず。

576 :名無しさん:05/02/02 10:27:49
age

577 :ブレス ◆bZF5eVqJ9w :05/02/02 18:17:17
こんにちは、いかがお過ごしですか?ブレスですー。
さて今回は、ロンブー編回想・亮さんバージョンです。
これが終われば時間枠は追い付くのかな?
そして先行して、はねる編1話も一緒に投下してみる次第です。
しばし駄目文にお付き合いください。


〜回想・欺く手口〜


亮は風呂場で数日前の出来事を思い出していた。
湯気が彼の体を包み、視界を奪った。その隙に彼の脳裏にその出来事が蘇る。
色々な事があった。そして、時は戻り――――。
あの日の時に、亮は戻っていた。


どないしよ、とこれで何度目になるか分からない言葉を亮が言った。
その近くには床に倒れて眠る4人の男。
1人は亮の反撃にあい気絶し。
1人は安堵感と蓄積した疲労で眠りに落ち。
1人ははるか高い空に飛ばされて気絶し。
もう1人は石の力から来た反動で眠りにつき。
そして、亮は取り残されていた。

「あぁ・・・どないしよ」
何度目かの同じ台詞を、亮が言った。
彼らがいるその場所は、最早ぼろぼろになっていた。
天井に大きな穴、窓ガラスは一枚割れて、そして倒れている椅子と机。

578 :ブレス ◆bZF5eVqJ9w :05/02/02 18:19:07
――――からん。
「どないしよ、どないしよ、どないしよ・・・・・・」
完璧に混乱に陥る一人の男の元に、1人の女性が来た。
「あの・・・・・・」
「どないし・・・」
「あの・・・?」
「はい・・・?」
人が来る事を想像していなかった亮は、面食らっていた。
その女性が、彼に向かって追い討ちをかけた。
「・・・収録、終わりましたか?」
「はぁぁーーー??」
「え?」
確実に、彼らの思考はすれ違っていた。
亮は、一瞬女性の言葉を飲みこめずに佇んだ。

話によれば、この店は昨日閉店したばかりで、そこへテレビ局のスタッフを名乗る人間から
『この店を1日だけ、テレビの収録で使いたい』
そう電話がかかってきたという。
そして、自分は――――この女性は、この店の元の店主で、様子を見に来たらしい。
なるほど、昨日閉店したと言うことは上田や有田が知らない可能性はありうる。
それで、この店を選んだのか・・・。だが、それならば何故?
「・・・くりぃむしちゅーだ・・・」
彼女は、その倒れている男たちを見てボソッとそれだけ言った。
「・・・俺は?」
と亮は言いかけて、止めた。
元店主は店の荒れようについて聞かなかった。むしろ、
「良いバラエティ番組、期待してます」
とか言ってきた。
怪しい、とも思ったが、彼女は芸人ではないし、石の事も知らないだろう。

579 :ブレス ◆bZF5eVqJ9w :05/02/02 18:19:58
――call――
『・・・あ、電話を切る前に、ひとつ』
「なんスか?」
『今回の件に関する疑問とかは無い?』
「え・・・・・・?」
『・・・ふふ、なんであの店に?って思ったでしょ?』
「何で分かったんスか」
『大体分かるよ、君の考えてる事は』
「・・・おー、こえぇーなぁ?」
『実はね、知り合いの若手に、スタッフって偽って電話かけさせてあったんだ』
「へぇ・・・?」
『それで、こっちの若手とか配置して、あたかも店が開店してるように見せた』
「電話をしたその日にそこが潰れたと知らなかった上田さんは・・・」
『そう、そこを選んでしまった』
「・・・だとしたら引っかかるな?
なんで、こんな風に遠まわしにやる必要があるんだよ?
それに、なんで思惑通りにあの店を選んだのか・・・」
『それはね、淳君』
「・・・・・・?」
『彼の性格を見て、だよ』
「・・・・・・どう言うことっすか?」
『ああ見えて裏をかいたり、頭を働かせたりするの上手いからね、あの人。
その前に、事前に相方を通じて<芸人が行かなさそうな場所>として覚えさせておく』
「有田さんに・・・?」
『それは簡単だろ?コンパが好きな彼だ、洒落たカフェのひとつやふたつ、知らない訳が無い』
「でもやっぱり範囲が広すぎるんじゃあ・・・」
『実は、あの店今日は何時もならサービスデーなんだよ』
「そ、そこまで読んでここを・・・?」
『ふふ・・・、欺く手口くらい知っておかなきゃね』
「閉店はラッキーでしょ?」
『そこは僕はノータッチだよ、そこまではできない』

580 :ブレス ◆bZF5eVqJ9w :05/02/02 18:22:18
「そうですよね」
『で、元店主にはかなりアクション性が多いバラエティ番組になるって言っといた』
「・・・・・・・・・」
『店壊れるかも?って言ったら、テレビ撮影に使うならって快諾してくれたそうだよ』
「でも、それでもそんなすぐには・・・・・・」
『・・・彼女、くりぃむしちゅー大好きなんだよ』
「・・・・・・・・・」
『どうだい?淳君?』
「むちゃくちゃですね・・・でも、物凄く成り立ってる・・・、欺く手口・・・・・・」
『淳君、これが僕等のやり方だよ。
一般の方を傷付けずに、僕等は僕等の闘いを終わらせなくちゃね。』
「でも店主って一般の方じゃ・・・?」
『・・・彼女、今芸人志望さ』
「・・・・・・・・・」
――――そんな会話を、彼は知っているだろうか。


「・・・・・・いいんですか?」
「いいですよ、お店は次のマスターに渡った後ですし」
「いやでも、直さないと・・・・・・」
「これから改装工事が入ります。この収録の事は言ってありますから、大丈夫です」
「・・・・・・そうですか」
亮は、罪悪感に押されつつも、4人の男を担いでその店を出た。
また、日が暮れかけていた。
そして彼はまだ知らない。
――――彼女が、今は友人と芸人を目差している事を。



以上、かなりこじつけ(苦笑)編でした。
続けてはねる編ドゾー。

581 :ブレス ◆bZF5eVqJ9w :05/02/02 18:25:22
荒れたら即終了。どきどきのはねる編フライング投下です。



<<Jamping?>>--01/a promise

板倉は、先日拾った石を珍しそうに眺めていた。
「へぇー、綺麗な石だねぇ?何処で買ったの?」
その一言を聞いて、不意に板倉が顔をあげる。
「え?・・・あぁ、これ?拾ったんだ」
「ふうん・・・あんまり見ない石だもんね」
彼に近づいてきたのは伊藤。物珍しそうに彼の手元の石を見ている。
「これなんて名前の石なんだろうなぁ・・・・・・」
板倉はそう言いながらも、遠くからのスタッフの声に反応していた。


翌日、携帯に入電。
「・・・って今なんて言ったの?」
『だからさぁ、皆でちょっと、行きたいところがあるの!
はねトびのメンバー皆来てるから、早く板さんもおいでよ!』
相手は再び伊藤。元気良く話しているのが分かる。
「分かった分かった!で、何処に行けばいいの?」

582 :ブレス ◆bZF5eVqJ9w :05/02/02 18:27:29
――――しばらくして。
都内某所に、彼らは皆集まっていた。
よく都合良くあったなぁ、スケジュール。と誰かが呟く。
「じゃーんっ」
伊藤が皆に何かを見せつけている。それは、珍しいピンクの石。
「わぁ・・・っ、いいなぁ・・・」
そう言ったのは虻川。
「それに比べて・・・」
目線を自分の手元に落す。手の中には銀色の石が入っている。
「虻ちゃんのも綺麗だよ?」
数名にそうフォローされて、虻川の顔がちょっと嬉しそうに輝いた。
「でさぁ、今日の用件、ちゃちゃっと済まさねぇ??」
めんどくせぇ、と漏らしたのが堤下。
「せやな、何の用やったっけ?」
と続けたのは西野。
伊藤が、そうそうと言いながら今日の目的を話す。
「皆、こう言う感じの石を持ってるって聞いたから、お揃いでアクセサリー作らない?」
この提案に開口一番
「せやかて、俺もうチョーカーに加工してもうたし」
と、西野が一言、自分の首もとの黒紐を引っ張りながら言う。
「あぁ、俺もだ」
堤下も腕にはめている革の腕輪についている石を見ながら言った。
それに続いて「ごめん俺も」と馬場。
彼のケータイにはストラップの形で石が付けられていた。
「あぁ、俺もやったわ」さらに続くは塚地。
石の姿はキーホルダーに変わっている。
「えぇーっ?!いいなぁと思ったんだけどなー」
「まま、残りの皆で合わせればよくない?ね?伊藤ちゃん」
山本がすかさず伊藤に言った。
「・・・っ、そうだけどさー」
ぶつぶつ言い続ける伊藤を、山本がなんとか宥める。

583 :ブレス ◆bZF5eVqJ9w :05/02/02 18:28:38
「なぁ?」
不意に、梶原が声をあげる。
「・・・どうしたの?梶原君」
「・・・・・・あんな、もしアクセサリー作るんやったら、普通のじゃないのにせぇへん?」
「え?」
「いやな、皆で合わせるんやろ?したら、普通のアクセやったら他のと被るやろう?
せやたら変わったアクセにしようや」
変わったって・・・、と皆が声を合わせて悩み始めた。
「・・・アンクレットとかは?」
西野が横から突っ込んできた。
「アンクレット、か・・・。なにそれ?」数名から同じような言葉が聞こえてくる。
「アンクレット言うんは、足につける飾りの事やねん。
そんで、皆同じ足の足首につけたったらええやろ?」
同じ事をする事に、絆を感じる。それが、きっと仲間だと思う。
そこにあった「石の加工所みたいなところ」と伊藤が案内した場所で石を加工する。
それから数分。
「これいいなぁ、うん、新しい感じがする」
出来あがったチェーンで結んだアンクレットを、秋山が誉めた。
皆同じで右の足首に、石しか違わないアンクレットをつけている。
「これからは皆、これつけてよ?」
そう伊藤が言った。
「うん」
「分かってるよ」
「もちろん」
口をそろえて皆がそう返した。
虻川がそれを見て「やっぱ皆仲良いよねぇ」と漏らした。
その仲が、引き裂かれる事も知らずに。


連続投下真に申し訳ないです。。。
駄目文だらだらと失礼致しました。それでは。

584 :鹿島田:05/02/02 23:27:38
初めまして。2丁拳銃書きたいんですが、書きたい人いますか?

585 :名無しさん:05/02/03 19:27:37
>>577
乙です!
芸人志望の女性の今後が気になるところです。

>>はねる編
いい感じですね。心配した荒らしも来ないようですし。
これからの展開が気になります。
次回作も期待してますね!

>>584
したらばで相談してみたらいかかがでしょう?

586 :名無しさん:05/02/03 19:49:04
とかいいながら覗いてみたら
>>524-529の続きが、したらばに投下されてましたね。
アクセス規制のためらしいですが。
一応コピペします。



39 名前: “Black Coral & White Coral” (t663D/rE) 投稿日: 2005/02/02(水) 03:21:48

本スレに投下しようと思ったら、ホスト規制が掛かっていたのでこちらに投下します。
お手数ですが、どなたか本スレの方に誘導またはコピペしていただければ何よりです。


587 :名無しさん:05/02/03 19:49:45
40 名前: “Black Coral & White Coral” (t663D/rE) 投稿日: 2005/02/02(水) 03:23:11

本スレ2 >>524-529 の続き

「はぁあああっ!」
塩をごと投げた小沢の行為により周囲の闇は薄れ、赤岡の力も多少抑制された・・・己の両脚の束縛が解け、
自由な動きを取り戻した磯山はそう判断し、赤岡へと飛びかかる。
動きが直線的云々と馬鹿にされた、そのお返しとばかりに敢えて一直線に突っ込む磯山の動きは素早く力強い。

「・・・・・・馬鹿が。」
瓦礫で磯山を迎撃するには、瓦礫に石の力を通わせ、浮き上がらせるまでの時間がない。
しかし赤岡は体勢を整えながら吐き捨てるように呟き、磯山が突っ込んでくるだろう空間を凝視する。
黒珊瑚が輝き、その空間に青白い炎の球・・・鬼火が出現した。

「・・・ナ、メ、ン、なっ!」
「・・・・・・・・・っ!」
先ほど煙草に火をつけたように、可燃物に触れれば発火させる事も十分に可能なそれは、ただの進路妨害なんかではない。
けれど、磯山から発された裂帛に、紫の光を纏った拳で鬼火を粉砕するその行為に、
一瞬でも磯山が鬼火に怯んで動きを止めればそこを攻撃する腹づもりだったのだろう、赤岡の表情が変わる。
なおも距離を縮める磯山を止めようと輝いた石は、黒珊瑚ではなく虫入り琥珀だった。

「ちっ・・・・・・」
赤岡の舌打ちとほぼ同時に琥珀から放たれた漆黒の稲妻が、遠慮も容赦もなく磯山を貫く。
「・・・ぅわあ゙あああ゙あっ!」
全身に弾けるような激痛を覚え、次の一歩を踏み出す事ができずに磯山は床に転がった。
「磯山ぁ!」
「・・・磯っ!」
闇の向こうから響く悲鳴に、野村と小沢が口々に呼び掛けるが、返ってくるのは闇の力を帯びた瓦礫。
これは機動隊員の装備を纏った野村が透き通った盾で防ぐ。


588 :名無しさん:05/02/03 19:51:34
41 名前: “Black Coral & White Coral” (t663D/rE) 投稿日: 2005/02/02(水) 03:24:58

「ぐぅっ・・・・・・」
瓦礫が盾にぶつかる度に、盾を支える野村の手首に重い衝撃が伝わり、野村の口からうめき声が漏れた。
野村の持つバイオレット・サファイアでは衣装や装備、知識といった物を得る事はできても、
それを使いこなすための肉体までもを得る事はできない。
華奢な部類に入る体躯の野村に、果たしてどれだけ連続して瓦礫を受け止め続けるだけのスタミナがあるかどうか。
眉を寄せて盾を掲げる野村の腕が、少しずつ降りてきているのに気付き、小沢はアパタイトを輝かせた。

 「君を手に入れる事によって一生分の運を使ってしまったんだから!」

パチリと指が鳴れば青緑の輝きが周囲に散り、横たわる磯山の体躯が小沢の傍らに出現する。
目立った外傷はないものの、全身を貫いた激痛が信じられねぇとでも言いたげに
磯山は目を見開いてゼェゼェと荒い呼吸を繰り返している。
その一撃を放った虫入り琥珀が赤岡の右手で煌めくのが見え、小沢はなおも指を鳴らした。

 「そんな事より・・・これからパーティ抜けださない・・・っ!」

瓦礫の連打にジリジリとガードを下げられていた野村では、これを防ぐのは難しい・・・そんな小沢の判断から
言霊と共にアパタイトを行使すれば、3人の姿はその場からかき消え、漆黒の稲妻はあいた空間を通過する。


(長すぎると言われたので一旦切ります)

589 :名無しさん:05/02/03 19:52:55
(続き)


「・・・悪ぃ、助かった。」
アパタイトの短距離テレポートで3人が跳んだ先は、赤岡の放つ闇の外側。
ダメージはまだ残っているだろうが、呼吸を整え、ゆっくりと立ち上がりながら磯山が小沢に囁いた。
「ったく、無茶するから。」
その磯山の頭を軽く小突きつつも、野村が告げる言葉はどこか安堵の色に満ちている。
頭を押さえ、痛ぇと苦笑する磯山につられるように表情をしばし緩め、小沢はポケットをまさぐると
飴玉を一つ、取り出した。

「それにしても・・・彼は、本当に戦い慣れてる。」
ビッキーズの木部が石の力で作り出した飴ちゃん。精神力と体力を少し回復させる力を秘めたその飴玉を
磯山に手渡し、小沢は闇の向こうの赤岡を見やって呟いた。
「力を行使する事に・・・怖れがない。」
「・・・赤岡の奴、ネタに煮詰まると、よくここで模擬戦やってストレス発散してたらしいですから。」
「なるほど道理で・・・って、島田くん、いつの間に?」
ふと背後から聞こえた声に3人が振り向けば、そこには島田の顔。
真っ先に赤岡の攻撃で気絶し、戦線離脱していた男の真摯な表情がそこにあった。

590 :名無しさん:05/02/03 19:53:37
42 名前: “Black Coral & White Coral” (t663D/rE) 投稿日: 2005/02/02(水) 03:26:32

「つい、今さっき。・・・迷惑掛けて済みませんでした。」
「いや良いケドよ・・・で、どうすんだ? この状況。」
律儀にぺこりと頭を下げる島田に、野村は調子が狂ったのか少し戸惑いつつ、問う。
その言葉に島田は一度上へ目をやった。天井までは10m近くあるだろうか。
「小沢さん、確か・・・ジャンプ力を上げる言霊を持ってましたよね?」
野村と磯山は虫入り琥珀の影響で忘れているが、号泣の2人は以前小沢達の戦いを見物していた事があった。
それ故、小沢がアパタイトでどんな現象を起こす事ができるか、多少は知っている訳で。
「・・・・・・あぁ。」
「それで僕を天井まで跳ばせて下さい。」
頷いて返す小沢に、島田は真顔でそう告げた。

「・・・どういう事だよ。」
「あいつは石を使う対象をしっかり目視しないと・・・アバウトな位置認識だけじゃまだ能力を引き出せない。」
だから、僕が跳べばどうしても赤岡は天井と地上とのどちらかに意識を向けなきゃいけなくなる。
・・・そうすれば、必ずつけ込むだけの隙が生まれる。
島田の発言の真意がわからず、思わず問いかける磯山に彼は静かに応じる。
「・・・要は赤岡くんの意識を分散させるための囮になるって事? できるの?」
「やります。もしあいつが僕を無視するなら、僕があいつを・・・黒珊瑚を止めます。」
訊ねた小沢の言葉の中には、相手が相方でも、幼なじみでも躊躇しないかという響きが籠もっていたけれど。
キッパリと言い切る島田の目には、迷いの欠片はどこにもなかった。

「んじゃ、俺らはちょっとだけあいつの気を引くから・・・頼むぜ、島秀。」
一瞬だけ驚いたように息を呑み、それから島田の背中をバシッと手の平で叩いて。
野村が投げかけた言葉に島田は小さく微笑んで返す。
「・・・ありがとう。」

591 :名無しさん:05/02/03 19:55:35
43 名前: “Black Coral & White Coral” (t663D/rE) 投稿日: 2005/02/02(水) 03:27:34

「アレ、やるぞ。良司。」
「でも、そうしたら俺ら・・・・・・」
そのまま島田から磯山の方へ向き直り、野村が告げる言葉に磯山は一瞬戸惑った。
「・・・ぶっ倒れる前に仙豆舐めときゃお前だけは動けるだろ?」
俺ら2人とも動けなくなるぞ、と続けようとする前に野村が即座に言い放った一言
そして磯山の手にある飴玉に向けられた視線から、彼の考えはうっすらと伝わっては来るけれど。
「変身さえ解けなければ、俺の盾はまだ使える。」
それを掴んで突っ込んで、お前がワンパン決めればこっちの勝ちだ。
重ねて告げる野村に、磯山は今度は頷いて返す。
「・・・・・・わかった。」

小沢と島田を庇うように前に歩みでて、差し出された野村の手に磯山が己の手を重ねると、
2つのバイオレット・サファイアが触れ合い、光と高音を発して共鳴する。
もちろん、石の力を発動させて何かを成そうという2人を赤岡が放って置くはずもない。
闇の中でチカッと黒珊瑚が輝けば廃材が4つ5つと4人の方へ飛びだしてくる。

しかし。

 「スーパーボールっ!」

今は防御の事など何も考えず、磯山と野村は声を重ねた。
2つの石から眩い光が放たれたかと思うと、赤岡の頭上数mの辺りに紫色の淡い幕が掛かる。
いや、それは幕ではない。

592 :名無しさん:05/02/03 19:56:17
(続き)


それは、紫色の光を纏った無数の小さな球状の物体。
それらが一斉に重力に引かれる以上のスピードで赤岡目掛けて降り注ぐ様は流星雨か、はたまた何かの
バラエティ番組での罰ゲームか。
「・・・・・・くっ!」
紫の光を纏ったスーパーボールが一つ二つ命中するだけなら、さほど痛くも痒くもない。
けれど、それが何十個、いや、何百個というレベルで降り注いでくるとなれば
さすがに赤岡も顔面に直撃しないよう腕で庇いながら、その右手に握りしめられている虫入り琥珀を煌めかせる。
途端に漆黒の稲光が赤岡を護るようにバリア状に展開し、石の力と石の力が激突して眩い火花が周囲に散った。

「・・・・・・・・・・・・。」
井戸田が到着しない以上、今、この現状を打破するには島田の考えに乗るしかないのだろうか。
他の選択肢がないかどうか、なおも小沢は考えるけれど。
黒珊瑚と虫入り琥珀を操る赤岡を相手に、消極的な策を取っている余裕もなければ
こうして赤岡の意識を引きつけている江戸むらさきの2人の努力を無駄にしたくなくて。

 「君はもともと大空にいたんだろ・・・飛ぶ事を忘れた僕の天使!」

小沢はアパタイトを輝かせ、指を鳴らす。


593 :名無しさん:05/02/03 19:58:14
44 名前: “Black Coral & White Coral” (t663D/rE) 投稿日: 2005/02/02(水) 03:28:25

「・・・・・・・・・っ!」
小沢のアパタイトが放つ青緑の光が己の身に変化を及ぼした事を実感すると同時に、島田は表情を引き締め、跳躍した。
未体験の視界の動きと全身に伝わる感覚がしばし島田を戸惑わせるけれど、中学生の頃にやっていた
バスケのお陰か空中で大きくバランスを崩す事はない。
間もなく目前に迫る鉄骨に細い腕でしがみ付き、両足をしっかりと絡ませて。
蝙蝠のように逆さ吊りになると、島田は腕を解いて眼下を・・・降り注ぐ紫の光を防ぐ男を睨み付けた。
人差し指と中指の根元に白珊瑚を挟み込んだ状態で硬く握りしめた左手を、そのまま相手の方へ伸ばす。

『力は余所から貰う物じゃない。誰かから奪う物でもない。』
先ほど、白珊瑚の領域にて島田の姿を模した白珊瑚が告げた言葉が島田の脳裏にリフレインする。
力が欲しい、と素直に応じた島田に対し、白珊瑚は静かにそう言い放ったのだ。
「力は・・・自分の内側から自ら導き出す物。」
島田の唇が小さく動き、微かにこぼれた声は自らに言い聞かせる反復の言葉。
体勢が体勢なだけに、それ以上に状況が状況なだけに長い時間は掛けられない。
頭に血が逆流してか、ぼんやりする思考ながらも島田は左手の白珊瑚に意識を集中させる。

ずっと、この石はただ光るだけの石と・・・何かを清める事しかできない、戦いには不向きなクズ石だと思っていた。
でも。
『主殿がそう望むなら、願うなら・・・僕は幾らでも主殿の力になる。何故なら、僕は主殿自身でもあるのだから。』
・・・白珊瑚よ、その言葉が真の物であるのなら。僕は望む。だから、ここにその力を示せ。

祈るように命じた、刹那。
島田の左手を中心に漠然と湧き出していた白い光が眩さを増し、その姿を変える。
光は島田のイメージに添う形へと集束していき、その手応えに島田自身も驚きを隠せない。
光に手を加える事などできないという思い込みが、石の可能性を潰していくのなら。
これは役に立たない石だという決め付けが、石の力を弱らせていくのなら。

一体、今まで自分はどれだけの力を出し惜しみしてきた事になるのだろうか。

594 :名無しさん:05/02/03 19:59:32
(続き)


「島田くん・・・・・・。」
不安げに呟く小沢からは、島田の姿をはっきり見る事は出来ない。
島田の左手を中心に放たれる純白の光は、いつしか弓矢を象るようになっていて。
お年を召した女優さんの為に照明が運び込んでくる強力なライトもかくや、と言わんばかりの
天井から降り注ぐ輝きに、確か赤岡とかいった男の発する闇は徐々に押されていく。

「くっ・・・・・・!」
野村と磯山が放った無数のスーパーボールを耐えぬくも、周囲の闇を払われて。
歯を喰いしばり頭上の島田を見上げる男の姿は、左腕の消滅箇所が左胸にまで及び、それ以外の箇所も
何かのホログラフかといわんばかりに全身の色彩が薄れているようだった。

・・・俺達は、あんな奴を相手にしていたっていうのか?
頼んだと言い残して昏倒し、床に倒れ込んだ野村の隣でビッキーズの飴ちゃんを頬張り、
何とかあと1撃2撃分ぐらいの精神力は確保して、隙あらば殴りかかる心づもりだった磯山も。
男の異形の姿を見て一瞬心怯む。

その動揺を察してか、それとも磯山よりも島田から発される力に意識が向けられたのか。
男は右手を・・・虫入り琥珀を天に掲げた。
「邪魔を・・・するなっ!」
「・・・貴様こそ・・・これ以上みんなを傷付けるな! 目を覚ませ!」
気迫と共に、互いの石から光が解き放たれたのは、ほぼ同時。
剛弓から放たれた島田の光の矢は一直線に走り、男の発した漆黒の稲妻を飲み込み、かき消して床に突き刺さる。

595 :名無しさん:05/02/03 20:01:02
45 名前: “Black Coral & White Coral” (t663D/rE) 投稿日: 2005/02/02(水) 03:29:26

「凄ぇ・・・・・・。」
閃光弾よろしく破裂する圧縮された光とそれが巻き起こす風に思わず目を細め、手で影を作りながら磯山は呟く。
「島田くん・・・まさか・・・君も・・・・・・。」
同じく光に目を痛めないよう手を翳しながら小沢も呟くけれど、それは磯山の物とは異なり
心配の色合いを帯びているようで。どうしたのだろう、と磯山はチラッと小沢の方を見やった。

「外した・・・?」
その小沢の視線の先、天井の鉄骨に両足でしがみ付いている島田は狙いが外れた事が信じられないとでも
言いたげに眉をしかめ、再び左手を敵へと向ける。
「次こそは・・・仕留めてみせる。」
みんなのためにと口に出さずに続け、白珊瑚の力を開放していく島田の視界が。不意にぐらりとずれた。

「・・・島田くん、跳んで!」
その耳に、不意に小沢の滅多に聞く事のできないプレミア物の掠れた叫び声が届く。
「足場が、崩れる!」

596 :名無しさん:05/02/03 20:01:48
(続き)



「・・・・・・・・・っ!」
また島田の視界が意図しない方向へずれるのと同時に、今度はギシリと何かが軋む感覚が足から伝わってきた。
念入りに狙いを付けた一射目が外れたのも、島田の足場である鉄骨が微妙に動いたからだろうか。
いや、そんな事は今更どうでも良い。
元々放置されて長い上に、これまで石を使った模擬戦や特訓の舞台にされていたこの廃工場の骨組みが。
いつしかボロボロに脆くなっていたのは事実であって。
「くっ・・・・・・」
磯山や小沢を信じて島田は鉄骨から飛び降りようとした、けれど。

「やべぇ、間に合わねぇ!」
磯山が悲鳴に似た叫び声を上げる。

「・・・・・・・・・!」
しがみ付いていた島田もろとも鉄骨が外れ、回りの鉄骨を伴って天井からゆっくりと落下を始めていた。
真下の、漆黒の髪の男目掛けて。

597 :名無しさん:05/02/03 20:03:31
46 名前: “Black Coral & White Coral” (t663D/rE) 投稿日: 2005/02/02(水) 03:30:32

今、アパタイトの力で2人を同時に避難させる事は可能だろうか。
悩むよりも早く、小沢は祈るように言霊を紡ごうとする。
「・・・・・・君を手に入れる事によって一生分の・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・。」
噛まないように、しかし、間に合うように。
どんなネタよりも慎重に言葉を発する小沢に対し、男はその髪と同じ漆黒の穏やかな眼差しを向ける。
向こう側が透けて見える相手の、敵意のないその視線に小沢の口が一瞬止まった、その時。

男は視線を頭上に迫る島田へ向けたかと思うと、右手の虫入り琥珀が蜂蜜色の稲光を放ち、
渾身の輝きに貫かれた華奢な長身は小沢達の方へと弾き飛ばされた。

「あ・・・赤岡くんっ!!」
島田をキャッチするべく走り出した磯山の動きを視界の端で捉えながら、小沢は叫ぶ。
その目前で。
廃工場の天井を支えていた鉄骨が、床に激突した。









轟音。そして巻き起こる砂塵。
全てが収まった時、コトリと音を立てて黒珊瑚があしらわれたネックレスと虫入り珊瑚が
どこからともなく床に転げ落ちた。

598 :名無しさん:05/02/03 20:04:48
47 名前: “Black Coral & White Coral” (t663D/rE) 投稿日: 2005/02/02(水) 03:37:24

以上、今回はここまで。
赤岡さんが何だか凄い事になってますが、本スレのルールである
「死にネタ禁止」に引っかからないよう次以降の話でフォローを入れますので
その点はどうぞ御了承下さい。

599 :名無しさん:05/02/03 20:59:59
初めてここにきました〜
皆さんすごいですねぇ!とっても面白いです。

ペナルティがあのあとどうなったのか、すっごい気になるんですが・・・

600 :鹿島田:05/02/04 16:25:03
どうやら、いらっしゃらないようなので書かせていただきます^^
黙々と製作中です…

601 :名無しさん:05/02/04 16:46:29
ペナ編、したらばにも投下してる方がいらっしゃいますね…

602 :鹿島田:05/02/04 17:52:45
早速投下。

此れも、ありえないことではなかった。―寧ろ、ありそうなことやったんだけど。
驚くに、きまっとる。関係なさそうな面してやがったあの二人が。夢や、そう、思いたかった。
GOOD NIGHT―良い夜を―#1
田村が『力』に目覚めてから早数ヶ月。俺らは様々な敵を倒してきた。
だが、その敵たちもRPGでいやぁ、スライムみたいなもんやった。
俺らは確信した。そろそろ"ボスキャラ"が登場する頃や、そうやって。
俺らは間違うておらんかった。殺気を感じる。…劇場を出た頃から。
「―田村。」「わかっとるっちゅーねん。」
俺と田村はそういって、走り出した。街灯がある、細い人気の無い路地に向かって。

「はよでてきぃな。男二人のケツ追っかけまわして何が楽しいねん?」
俺がそういうと、疎らな拍手が聞こえてくる。
パチ、パチ、パチ…。
「さすがやねぇ、嬉しいわぁ、頭のええ後輩がおって。」「けど、【敵】やっちゅーんが悲しいなぁ。」
「そやねぇ、悲しいなぁ、こんな若い芽を摘むなんて。」対照的で、特徴のある喋り方。
―おもろいな。そういって、田村と舞台袖できいとった記憶がある。
「―、まさか、小堀さんに、修士さん…!?」
月明かりに照らされ、電柱にたっとった二人の正体が明らかになる。…俺の予想は、外れてなかった。
「っ、ホンマに、何でっ!」動揺しているのだろう、田村は何をしゃべっとんのかわからへんかった。
「おー、正体まで当てよった。」そう言って修士さんは地面に飛び降りる。
「ん、さすがやわ、やっぱ。川島君はエエ子やね。」同じように小堀さんも飛び降りた。
「…おおきに。」ギロッと俺は二人を睨んだ。「何で、俺らを追い掛け回したんですか!」
「んー、何でやって?」「それはな、俺らがお前らの敵やからやねん。」
敵。即ち―。
「【黒】の人間、っちゅーことか。」


603 :鹿島田:05/02/04 17:54:15
続き。

「その通り。」「うん、欲しがるのわかるなぁ。」
「確かにな、賢い人、好きやもんな、【あの方】は。」にやにやと妖しい笑みを浮かべる。
「誰やねん、【あの方】って。」俺が問うと二人は困った顔をする。
「どないしましょか、小堀さん。」「どないしましょか、修士さん。」
「そう易々教えられんなぁ。」「仲間になったら教えたるよ。」
にっこりと二人は微笑んだ。
―見損なったで、二人とも。俺はそっと呟いた。
「川島…。」「仲間になるはず、ないやろ。」
やっぱりな、そんな顔をしながら小堀さんが言うた。
「そか、じゃあ…。」
続けて修士さんが言う。

「力ずくで、ならせたる。」

二人の目は冷酷で、何処と無く寂しそうだった。

604 :鹿島田:05/02/04 19:31:09
>>602-603の続き
「…そうですか。」俺はそう言い、走ってくる二人を見据えた。
―可哀想に。田村がそう呟いた。

GOOD NIGHT―良い夜を―#2

修士さんの姿が消えた。
「田村!」「おう!」
そう確認しあうと、田村の石――、白水晶が光った。同時に、強烈な光が一面に広がる。
「ぐ!」「っち!」「…ナイス、田村。」俺は呟き、影の中に入った。
「!?川島は何処や!?」「ホンマや、おらへん!」影から素早く体を出し、修士さんの手を掴もうとした。
その時。「…なーんてな。」「しまっ…!」修士さんは後ろ向きのまま俺の手を掴む。
鈍く、石が光った。「っぐあ…!」ミシミシ、ミシ…。「川島ァ!!」
「血の流れを、変えたんよ。…おもろいやろ?」くくっと修士さんは妖艶に微笑んだ。
「川島ぁ!!」「田村君、ごめんなぁ?」そういって小堀さんは田村の両手首を掴んだ。

怖い、怖い、怖い。父親が出て行ったこと母親がいなくなったこと。
様々な恐怖が、俺を襲った。
「っは、うわぁぁぁぁぁぁぁあぁ…!!」

「田村っは、っち…!!!」掴まれた右手がビリビリと痺れている。
「俺の石の力は、『悪夢を魅せる』こと。…さぁ、川島君はどんな悪夢をみるんやろな?」
田村のほうを見る。田村はガチガチ震えていた。

605 :鹿島田:05/02/04 19:32:23
川谷修士(二丁拳銃)
石:黒真珠(←宝石言葉は静かな力強さ)[ブレスレット]
【能力】:液状物質の「流れ」を操ることが出来る。
【条件】:勿論、液状のものでないものは操れない。
     発動時に黒真珠を握る手に多大な負荷がかかる。
     流れているもの、あるいは入れ物に触れなくてはならない。

小堀裕之(二丁拳銃)
石:マーカサイト(←宝石言葉は思い出、情景)[ネックレス]
【能力】:触れた相手の厭な思い出、情景を鮮明に呼び起こす。
【条件】:相手の身に着けているものでも可。身につけていたものは駄目。
     だが、身に着けていたものから予測していたこと等を見ることが出来る。
     長時間使用すると頭が割れるような頭痛に襲われる。

606 :ブレス ◆bZF5eVqJ9w :05/02/04 20:26:12
>602-605
新作またまた来た!!
いやぁ、最近の新作はどれも読みやすい。
続き期待していますね。



ってマーカサイト使われちまいましたか・・・。
(ガレッジ編で使う予定だったんすけどね
まとめサイトも見て頂きたいなぁ)


607 :鹿島田:05/02/04 20:29:57
有難う御座います。続き執筆中です。

え!?まじですか!すいません…まとめサイト見とくべきでしたね。
すいませんでした!!

608 :名無しさん:05/02/04 20:38:32
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
面白くなりそうですね!乙です!楽しみにしてます!

あ、メール欄に半角でsageと入れた方が良さげですよ

609 :鹿島田:05/02/04 20:49:05
有難う御座います。

あ、有難う御座います!!早速いれました!

610 :鹿島田:05/02/04 21:08:34
駄目や…これ以上田村に戦わせるわけにはあかん…。街灯もあるし、なんとかいけるか…。
ビリビリと痺れる右手を睨み、石を発動させた。
「又か…学習能力、あんのかい?」「あるやろ。…ま、無駄な足掻きっちゅーやっちゃな。」
ズズズ…。ブロック塀の影からでる。
バキッ!「てっ!」「小堀!…てめぇ!」
修士さんが殴りかかってきた。
―好都合や。俺は瞬時に修士さんの手首を掴み、石を発動させた。
修士さんだけが地面に叩きつけられた。「っぐあ!」「修士!…ドジが。」
小堀さんは俺の落としたガムを握った。がしっ!「しまっ…!」「…捕まえた。」


611 :鹿島田:05/02/04 21:11:19
>>604,610続き
様々な恐ろしい光景が鮮明に思い出された。
そのなかに、低い、恐ろしい声が聞こえた。
―あいつらが、憎いでしょう。
誰や、お前は。
―私ですか?…黒水晶ですよ。我がマスターよ。
俺の、石?
―さぁ、力が欲しいでしょう?総てを、私にお預け下さい?私に総てを。
ぐらり。意識が途切れかけた。
っち、呑まれて…たまるか!!

「ああああああああああああああああああっ!!」ばしん、と小堀さんの手を払う。
「な!」「っはぁ、はぁ…た、むら…大丈夫、か…?」
「…あ、あ、悪い、な。」そういってはいるが、まだ小刻みに震えている。
「川島ぁ!」修士さんがこっちに向かって走ってきた。
ヤバイ!!動け、動け、動け!!動けや、俺!!!!嫌な汗が頬を伝った。
「グ、グアアアアアアアアアア!!!!!」いきなり小堀さんが叫んだ。
「、小堀!っち、もうか……。…ふん、今日は終いや。またな、川島。」
最後の意識で、小堀さんを担ぎ、修士さんは去ってったところが見えた。
「GOOD NIGHT、良い夢、を…。…田、村…。」
そして何か濁った感情とともに意識は遮られた。

この戦いで聞こえた黒水晶の声を又聞くことになるとは、思わなかった。

happy end…?

612 :鹿島田:05/02/04 21:46:24
長短篇番外編投下したいと思います。

あんときおとした、ミント味のガム。――確か、設楽さんに貰ったんよな。

ミ ン ト

「あ、川島君だよね。」「…はい、そうですけど。」
東京のテレビ局で会ったのだ、確か。
「スピードワゴンの二人から何時も聞いてるよ。」「有難う御座います。」
「…あ、そうそう。お近づきの証に此れ、あげる。」「…あ、どうも。」
ミント味のガムだった。先輩に貰ったものだし、帰って暇なときにでも食おうと思った。
「川島ー、行くで。」「おー、…じゃあ、失礼します。」
すると手首を掴まれた。「…何ですか?」「僕、賢い人、好きだからね。」
そういって設楽さんは手首を離した。俺は気味が悪くなり、走って逃げた。
設楽さんはにやりと妖しく微笑んだ。
「待ってるよ。川島君。…君は、こっち側の人間なんだよ。」
end

613 :名無しさん:05/02/05 00:36:24
乙です!
にちょけんキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
面白かったです



614 :新参者:05/02/05 00:58:18
さくらんぼブービーとポイズンが出てくる番外編が書きたいんですが、
ここに投下してもいいでしょうか?
宜しければ明日か明後日にアップしに来ます
それと、長めなのでHTMLにして晒したいのですが、それって許されてますか?
皆さんの意見お待ちしています。
質問ばかりですいません。

615 :名無しさん:05/02/05 02:02:28
>>614
いくつかに分けて投下すれば、HTMLでなくても大丈夫だと思いますよ。
さくらんぼブービーとPOISON…一見接点のなさそうな二組ですが、
どんなお話か楽しみにしてます!

616 :鹿島田:05/02/05 03:16:09
明日、にちょけんが何で黒に入ったかエピソードを投下したいと思います。

617 :新参者:05/02/05 12:59:39
皆さんに比べると大した量にならなかったので、そのまま書き込みたいと思います。
615さん、意見有り難うございました。
次から投下します、流血シーンがあるので苦手な方は注意してください。
では……。

618 :新参者:05/02/05 13:00:42
芸人の中で石が流通してから随分経った。
わりと初期から手にしていたか、それとも遅かったのか。
周りと比べたことはもちろん無いので比較も出来ない。
同時に、石の持つ能力が高い方なのか、低い方なのか。
どうも、石に魅せられていない人は情報を隠したがる。
協力してくれと言ったなら、ある程度の情報を送るのが普通じゃないのか。
普段は前向きすぎるのを短所としている木村にとっても、
現在の状況をまあまあで終わらせることは出来なかった。
幸い人が死んだという噂はなかったが、いつ耳に入ってくるか分からない。
ニュース番組で沢山のファンに囲まれ、
棺桶の船で空へ向かう芸人仲間の姿など想像したくなかったし、
自分がそうなっているのはもっと考えたくなかった。
ノアの方舟とは違って先に希望はない。
さくらんぼブービーとして活動を共にする鍛冶の石と対になっている木村の石は、
正直使いにくいものだった。
木村だけで戦うのは難しく鍛冶の力を使っても負担が大きすぎる。
鍛冶が直立不動のまま動けなくなったのも記憶に新しい。
「どうしろってんだよ、なあ?」
返事を期待しないまま声を空中に投げた。
壁で跳ねて鍛冶の耳に届くが、主語が無かったので内容を理解出来ない。
うそぶく鍛冶の顔はどこかひょうひょうとしていて、それがまた木村の苛々をせき立てた。
無言のまま鍛冶の頭を殴り、文句を並べられる前に楽屋の外へ。
何も無かったころに比べると廊下にも寂寥感が流れていた。

619 :新参者:05/02/05 13:01:39
同じ事務所の芸人がいれば少しは場が和らぐかもしれないが、あいにくスタッフ以外の姿は見えない。
全国ネットの番組に出られる芸人などごく一部だ、
うじゃうじゃといたらいたで圧迫されてしまうだろう。
ため息をつきながら頭を掻き、ポケットに入れっぱなしだった煙草の箱を取り出した。
外に出るまで耐えられず歩きながら火を点ける。他の人は仕事中だ、どうせ人は来ない。
煙草の煙は体に纏わり付いてから逃げた。
空気に混ざっては消えて、息を吐いて継ぎ足してを繰り返す。
何回肺が汚染されたころだっただろうか。急に体が重くなり、思わず目を細めた。
木村特有の鋭い眼光の先、
姿形が映し出された鏡に映る自身の影が大きく膨らんだかと思うと、
影を背負ったままの長身の男がゆっくりと姿を現した。
影に適う黒いスーツの肩が上下に揺れている。
お互いに顔ぐらいは知っている、その程度の関係。
もっとも、彼のコンビは敗者復活戦を通り抜けて大舞台へ上っていったので、
見向きもされていないかもしれないが。
「さくらんぼブービーの」
ある程度知名度はあったらしい。
木村の顔を見るなり、影から出てきた男――川島明、は細い目を見開いて呟いた。
木村も軽く会釈で返し、ふと気づいて点いたままの煙草を隠す。
「石のことは知ってるみたいですね」
有り得ない状況に驚かないのが証拠だ。それを分かっている川島が切り出す。
面倒なことになる予感はあった、聞かなかったふりをして歩み出そうとする。
「お願いです、これ、持っててください」

620 :新参者:05/02/05 13:02:29
無理やり腕を掴まれて逃げられずに、されるがままに何かを握らされた。
見なくても中身は分かる、すぐに突っ返そうとしても遅い。
川島はまた影にもぐって姿を消してしまう。
白黒どっちの人間だろうか。失礼かもしれないが、黒の可能性が強い気がしてしまう。
川島の発する独特の空気は木村ですら飲まれてしまうものだったし、
影に潜る彼の動作は随分と手慣れていた。
踏まえて、手にした石をどうするべきか。
見た目は確認しないままポケット内のある場所に隠した。
誰にも言わなければ引き取りに来るだろう、楽観視して隠していた煙草を吹かす。
短所だと再確認してからすぐにこれだ、第三者はあまりの不用心に頭を抱えるはず。
そしてそれは案の定、危害に変化して帰ってくるもので。
後一つの角を曲がれば出口だった。
逆に建物の中に入ってきた二人組と目線がぶつかる。
あのコンビも確か決勝戦へ進んだはずだ、英語の長ったらしいコンビ名の……忘れた。
木村が思いだそうとする前に質問が飛んでくる。
「麒麟の川島見ませんでしたか?」
小さい長髪の方が軽く笑みを浮かべた。
不自然な笑みでは無かったが、何か特別な事情があるのは分かる。
どちらが善人? 情報不足が響く。
「見てねえっすよ」
触らぬ神に祟り無しだ。結局は何も知らないふりをして通り過ぎようとした。
ポケットに入った石も忘れた演技で自分をごまかす。

621 :新参者:05/02/05 13:03:20
「嘘ですね」
丁度互いの体が一直線に並んだ瞬間に、長髪の方が呟いた。
同時に背の高い方が、手の平に貼ってあるガーゼの絆創膏を剥がす。
鮮明に写った赤い傷跡から液体が滲み出して、重力に逆らったまま空中に留まった。
明らかに血液だ、あれも石の力?
身を翻して逃げようとしたが遅い。手の平を顔に押しつけられ、血液が呼吸手段を奪う。
辛うじて隠れていない視界が掠れるのも時間の問題だ。
初めて感じる命の危険の中、後ろで傍観する長髪が口を開いた。
「ちょっと黙っててくれると有難いんですが」
この状況でどうやって話せっていうんだ。悪態も睨むだけで終わる。
息が続かない、遠くなる意識の中、ヒーローのように出てこない鍛冶を呪った。

すっきりしない目覚め、ぼんやりと捉えられるのは大量のダンボールと割と広い空間。
どこかの倉庫に連れ込まれたようだ。頭を数回振ってから誰もいない空間に耳を澄ませる。
「ああいう方法なら被害が少なくてすむな」
「鼻の穴にも血を突っこんだの?」
「まあ、そうだけどな。うん、出来るだけそういうのはスルーしてくれよ」
「わかった。じゃあ口の方は」
「それも駄目だ。お前、俺が何を言いたいか分かってないだろ」
気の抜けた会話に肩透かしを食らう。
漫才中と同じような調子で続いたが、木村と目を合わせることで止まった。
ご丁寧に目覚めるまで待っていてくれたらしい。

622 :新参者:05/02/05 13:04:03
端にある掛け時計を確認する。気絶していたのは数分だけだ。
とりあえず仕事に差し支えがなさそうなことに安心してから、現状況をどう乗り切るか考えた。
「気分はどうですか?」
長髪が尋ねてくる。どうもこの男には見当外れなことを聞く癖があるらしい。
やる気無さそうに目を緩めて木村の顔を覗き込む。
「悪いんですけど、勝手に色々調べさせてもらいました」
予想はしていた。しかし相手二人がいなくなっていないところから見ると、
預かり物も木村自身の石も見つかっていないようだ。
煙草の箱の中なんて誰も想像出来ないだろう。
「川島はどこへ?」
聞きたいのは一つだけか。ここで正直に言えば帰れるか?
多分無理だ、この二人が良い側の人間とは思えないから、
口止めと銘打ってぼこぼこにされる可能性がある。いっそ石が取られていればよかった?
「知らねえっす」
「嘘は体に悪いですよ」
「だから本当のこと言ってるんじゃないすか」
立ち上がっても何も出来ない。だったら座って体力を温存したほうがましだ。
喧嘩だけなら勝てそうな相手だから、石の力さえなんとかなれば逃げ出せる。
「川島は、影から影に移動することが出来るんです。
 ここである程度検討付けておかないと、遠くに逃げられたまま終わっちゃうんですよ。
 別に放っておいてもいいんですけど、石を取られたままでして……」
ゆっくりと事情を説明されていくうちに木村の顔が引きつっていく。
標的は石、やはり渡してしまうべきだ。無理やり取られたことにすれば分かってもらえる。
着信音が鳴り響く。後ろに突っ立っていた長身の携帯電話だった。

623 :新参者:05/02/05 13:04:51
真顔で電話相手と話しているが内容は分からない。長髪の尋問も一時停止されていた。
「……分かりました」
酷く辛そうな声だ。
会話を終えた長身が俺ら二人のそばに立つ。長髪と顔を見合わせて、眉を寄せた。
「こっち側に引き込めって」
「この人を?」
「いや、コンビごと」
「何で?」
「面白そうだからって言ってた」
内容は理解できないがまずい状況になったのは分かる。この状況を楽しめる人間がいるらしい。
目を見開いた木村は、とっさに立ち上がって一つしかないドアに向かおうとしたが、
首もとの生温い感触に体を固めた。
「逃げられるとまずいんですよ」
木村の首に巻かれた血液の持ち主が決して明るくはない声色を使う。
ゆっくりと振り返ると、無表情のまま手を伸ばす相手。
血液がピアノ線のように鋭くなった、頸動脈を切るくらいは出来そうだ。
諦めて手を上げると糸は解いてくれた。けどこのあとどうする?
せめて鍛冶がいてくれれば方法はある。
いつまで出番をじらすつもりだ、あの馬鹿!
短気な性格が単純に現れ、木村の表情に怒りが浮かんだ。
「そんなに怖い顔しないでくださいよ。言う事に同意してくれれば、何もしないですから」
困り顔の長髪が手を振って苦笑いをする。それですら木村の神経を逆撫でするだけだ。
更に眉を吊り上げて拳に力を込める。
無防備な長髪をカバーするように、長身の方が血液を変形させた。

624 :新参者:05/02/05 13:05:48
赤くて鋭利な日本刀が木村の首もとに留まる。
「あの、俺らはですね……」
たどたどしい長髪の説明は荒っぽくまとめるとこうなった。
石は黒派と白派に分かれていて、黒は白がうざったい。
だから黒に協力して、白の人間をぶっつぶせ。もちろん木村が承知するわけもなく。
「んなこと誰がするかよ」
礼儀である敬語も忘れて睨み付けた。ため息をつくのは相手二人、何故か悲しそうな顔をして。
「そう思っても断れないんだよ」
血の刀を持った長身が、独り言のように呟いた。
相手にどんな理由があろうが今の木村にとっては知った事ではない。
苛々は最高潮、石を託した川島に対してでは無く、
今だに現れない鍛冶に対してだけ向けられている。
昔からの仲であるからこそ、矛盾した責任をぶつけてしまうのは当然だ。
「オラこのクソ鍛冶! 何してんだこんなときに!」
人目を憚らず喚く木村に驚き、二人組が数歩下がった。
瞬間、木村の石が光り、倉庫の明かりと混ざる。あまりの眩しさに三人揃って目を閉じた。
光が段々弱くなる。その場には何も変化はない。
しかし微かながら石は光ったままで、ポケット越しでも光が確認できた。
驚いたのは相手の二人組だ、無いはずだった石が存在して、
意味の分からない効果を発しているのだから。
「何したんですか」
初めて長髪に怒りが浮かんだ。木村自身分かっていないので説明も出来ない。

625 :新参者:05/02/05 13:06:35
長身の血液がもう一度木村の顔を覆おうとして、
二回目のブラックアウトを予想した木村は目を見開いた。
「木村? どうした? 何してんの?」
ドアのノックと一緒に届く、気の抜けた、けれど聞き慣れた声。
ようやく二人目の登場か、どうしてこうなったか分からないが苛々が勝った。
「どうしたのじゃねえよ、来るのが遅えんだ馬鹿! こっちは絶体絶命だっつーの!」
「えぇ? なんでそんなことになってんのー!?」
「俺だってわかんねえよ!」
相手が独特の間なら、こっちはいつも通りの騒がしさ。
ぎゃあぎゃあと表記するのが一番適したこの状況で、呆気に取られているのは二人組。
しかしすぐに我に返り、慣れた方法で口を塞がれた。
もがいて指を噛もうとしても血液のクッションで押さえ込まれる。
鉄の臭いが頭に充満する中で必至に拘束から逃れようとした。
口が使えないと鍛冶に指示が出来ない。呼吸は可能なので考える時間はある、
数秒動きを止めてから近くにあった足を思いきり踏みつけた。
長身の方が小さく痛みを訴え、そのおかげで血液の拘束が少し緩くなる。
ジェル状になったそれを引きはがしてから、ドアの方に走って鍵を開けた。
「うわあ!」
向こうも向こうでドアを突き飛ばそうとしていたらしい。
木村と鍛冶の体がぶつかって共倒れになる。大げさな効果音は密封された倉庫内でよく響いた。
「このクソ野郎……」
息が切れているせいで木村の声量は小さい。
苦く笑う鍛冶は気まずそうに頭を掻いてから、近くで立っている二人組を確認した。

626 :新参者:05/02/05 13:07:51
「あ、POISON GIRL BANDだ」
そうだ、そんな名前だった。喉につっかえていたコンビ名が表に出て少しだけすっきりする。
鍛冶も流石に一人一人の名前は分からないらしく、呼ぼうとして数回躊躇っていた。
「すんません、名前なんでしたっけ?」
挙げ句の果てには面と向かって尋ねる始末。殺気立ってていたはずの空気が一気に軽くなる。
しかも相手はご丁寧に質問に答えてくれた。長髪は阿部、長身血液操作は吉田。
「面白いってこのことだったのかなあ……」
吉田が呆れながら呟いた。阿部も同様苦笑している。
このまま場が治まってくれればよかったのだがそうはいかない。
「二人ともって予定だから好都合は好都合だけど」
「好都合じゃないよ、多分、石使ってくるだろうし」
「攻撃型だったらまずいか」
「うん、まずいな」
「大丈夫?」
「まあ、なんとかするよ。阿部は見ててくれればいいから」
吉田が再度血液で日本刀を作り出す。
「何あれ?」
騒々しく慌てるのはもちろん鍛冶だ。木村がうるせえと注意し、少し疲れた体で指示を出す。
「あれやるぞ」
「あれって?」
「前やったろ、楽屋荒らしたやつ」
「動けなくなっちゃうよ」
「半殺しにされるよりましだ」

627 :新参者:05/02/05 13:08:39
最後の単語にやられたらしい、観念した鍛冶が俯いた。
木村だって作動すれば疲れるのだからお構い様だ。
会話している最中にも隙が出来る。
木村が気づいたときには吉田が血液を振り上げている最中だった。
何とか避けたが高かった服が破れてしまう。舌打ちする間もなく次の攻撃が放たれていた。
「鍛冶! そっち捕まえろ!」
もちろんキーワードを発していないので、鍛冶は正気を保ったままだ。
指示されるまま後ろで傍観していた阿部の元へ走った。吉田も身を翻して後を追う。
言葉を言うくらいの間は出来た。大きく息を吸った木村の声が辺りに響く。
「あれ? 鍛冶くんじゃない?」
「うん!」
顔は合わさないまま、鍛冶も綺麗な返事をした。
動作が獣臭くなり、人間とは思えない呻き声が辺りに木霊する。
石を持たずに鈍く光る目に捉えられた阿部は言葉を失って身を固めた。
野性の肉食動物に狙われたようなものだから当然だ。
襲われる阿部と襲う鍛冶の間に血液の壁が出来る。
弾力で跳ね返った鍛冶は上手に着地し、腰を落とした前傾姿勢で相手を見上げた。
吉田は無表情だが動揺しているのは分かる。
「鍛冶! 殺すな!」
とりあえずの指示を出すと鍛冶の動作が一瞬止まった。
すぐに襲いかかるが野性の習性で、殺す以外の攻撃方法は苦手らしい。
取っ組み合いで肩を握り、相手の体を利用してジャンプしてから腹を両足で蹴り飛ばした。
派手に転げる吉田の血液が床に散らばる。

628 :新参者:05/02/05 13:09:19
阿部が吉田の元へ向かった。咳き込んでしゃがみ込む相手は放った鍛冶が、
回りに比べると小さい阿部に目を付ける。
目の光が強くなり歯を剥き出して男にしてはせまい肩を両側から掴んだ。
「鍛冶! やめろ!」
肩に噛み付く寸前。無抵抗だった相手は必至で腕を払って鍛冶の脛を蹴りあげる。
鍛冶は数秒間怯み、それからもう一度阿部に襲いかかる。
流石に耐性の出来た阿部は、今だ蹲る吉田の元に向かって石を取り出した。
赤い靄が膨らんだかと思うと、散乱していた血液が吉田の元に戻る。
一部始終を見た木村は悟った。攻撃系は吉田の血液操作だけで、
阿部は何らかの補助系の能力持ち。吉田の様子が戻ったのなら、
さくらんぼブービーと同じで対になっているのか。
見当がついても対策は無い。鍛冶が吉田を捉えようとしているが、
相手も相当な理由があるらしくなかなか降参してこない。
吉田の顔には明らかな疲れが浮かんでいるのだ。
血液をどうやって防ぐかが問題だった。
変幻自在の武器は本気になればあっさり木村達を殺せるだろう。
吉田の中にある躊躇いがいつ壊れるか分からない。
考えていたせいで注意力が散漫になっていた。
見境が無くなった鍛冶が木村の方へ向かってくる。敵味方が分からないのだ、
相手二人は放って自らの身の安全を確保する必要がある。
「鍛冶、俺は襲うな」
張り上げていたはずの声がか細くなっていた。
木村自身気づかない内に体力を消耗していたらしい。

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